fivebythree.net

7000dB とは

2023-08-01
Abstract
7000dB が一体どの程度の音量なのか考えてみました。

7000dB の衝撃

みなさんついついおしゃべりで声が大きくなることがありますよね。

そのとき、どのくらいの声の大きさがでていると思うでしょうか?

・・・7000 dB (デシベル) くらい? なるほど。

では 7000dB のおしゃべりがどうなるのか調べてみたいと思います。

音とは?

「音」とは気体の動きが粗密波となり媒質中を伝搬していく現象です。

音には物理学的定義が存在します。考えていく準備としてその定義をおさらいしたいと思います。

まず、音は気体の圧力の変動で、局所的に発生している音をあらわす物理量は圧力と等価です。

気体に対する圧力は、気体を特定の方向に加速させます。つまり、気体と圧力の関係は、ニュートン力学における質点(質量)と力の様な関係と言えるでしょう。

後のセクションでも述べますが、本考察は最終的には音による圧力が空気にどの程度の速度を生じさせているかを調べる事で進んでいきます。

音による圧力変動とそのdB(デシベル)表記

「デシベル」とは音の大きさのみならず、電気信号などの数多くの信号レベルを表すのに使われていますが、ここでは音の大きさに限定して述べたいと思います。

音の絶対値をデシベルで表記するとき、通常は以下の定義を用います。

$$L[dB]=20 \log_{10}\frac{|p|}{|P_0|}$$

$P$ は音圧(音による圧力変動)の実効値です。$P_0$ は人間の最小可聴音圧で、通常は $20 \mu [Pa]$ が用いられます。

おおよそではありますが、音圧値と実際に日常で感じる可能性のある音圧レベルです。

音源 音圧レベル[dB]
ジェットエンジン(1m距離) 150
トランペット(耳元 50cm) 130
工事現場 100
渋滞 85
テレビ 60
会話 40
静寂な森林 10

音と空気の動きの関係を表すミニマルモデル

人間が発声によって音を放射するサイズ・周波数を念頭に、音圧と空気の動きの関係を表す物理的モデルを立てていきたいと思います。

人間が声を発すると、口の形状に合わせて、柱状の空気の塊が口唇から押し出される…という描像を用います。

voice model

口の開口部の面積を $s[m^2]$、柱状の空気の塊が振動して動く速度を $V[m/s]$、空気の密度を $\rho[kg/m^3] = 1.25 [kg/m^3]$、声は単振動で近似しその周波数を $f[Hz]$ とすると、口から正面方向に $z[m]$の音圧 $p[Pa]$は、

$$ p = \frac{f \rho S}{z} V $$

と書くことができます。

空気の速度と音圧の関係

上記表式を使って空気の速度、音圧の関係を計算してみます。 150dBの音が相当大きなものであるのが理解できたと思いますが、さらに大きな音圧ではどうなっているでしょうか。

200 dB からどんどん上げていきます。ポイントは音圧が空気の速度が10倍になると、音圧が20 dB上昇する…という点です。

周波数は決め打ちで250Hzとします。

空気の塊の面積も適当に、口を大きく開けたときの面積として…直径3㎝の円とします。断面積は約 $0.0007 m^2$ です。

また、互いに対話をしているということで、口から1m離れた場所の音圧を考えます。

音圧レベル[dB] 空気の速度[km/s]
200 905
250 286,317
300 90,541,479

・・・どうやら300dBで 光速である秒速30万キロ毎時をはるかに超えてます。 大体30万キロ毎時になる場合の音圧レベルは何 dB でしょうか?計算してみた結果が以下です。

音圧レベル[dB] 空気の速度[km/s]
250.5. 303,283

と、7000dB より遥かに小さい音圧で、空気が光速度に達することが分かりました。

この音圧を出すのに途方もないエネルギーが必要です。特殊相対性理論によると質量のある物質が光速度を得るには無限大のエネルギーが必要です。

そこまで到達する過程で、周囲の空気はあまりの高速にプラズマと化し、電離した原子核の運動によるガンマ線の放射で地球人類は一瞬にして死滅するでしょう。

無限大のエネルギーによって宇宙は焼き尽くされブラックホール化して消滅します。

運がよければ発生した特異点により時空連続体が引きちぎられ、宇宙が二つに分かれてしまうだけで済むでしょう。

aftermath

7000dB の世界

それでは 7000dB の世界です。

6000dB くらいから、スプレッドシートの扱える浮動小数点数のMAX値を超えてしまうため、手計算が必要です。

音圧がPa 表示で10倍になるたびに、20dB 増えるわけですから、計算は簡単です。250dB で空気の速度は $2.9 \times 10^5 [km/s]$ でした。

そこから更に 6750 dB 増えるわけですから、桁数は約 6750/20≒338 桁増えるわけなので…

音圧レベル[dB] 空気の速度[km/s]
7000 $2.3 \times 10^{343}$

です!

なんと大きな数字でしょう!

宇宙の大きさですら、150億光年=$1.4 \times 10^{23}$kmです!

一秒間で宇宙を何往復できるスピードでしょう!もはや人類が想像もつかない数です。

このような時間間隔に存在するものとは一体どんな存在でしょう!

我々の概念における「始まり」も「終わりも」、「過去」も「未来」も存在しないでしょう。 宇宙で起きるあらゆるの事象が、可能性も含めた世界線が、その世界では瞬く間に過ぎるのです。

永劫は一瞬で刹那は永久です。終わりは始まりであり開闢は終焉です。 全ては個であると同時に個の因果は世界の総体の直線運動です。

この世界で何らかの存在が許されるとしたらそれは神なのでしょうか? いや我々人類が神と名付けて理解を試みている存在から遥かに遠くに離れた存在、5億年の思索もその存在の薄皮一枚にも至らないでしょう。

なんということでしょうか。

それが7000dBの世界です。あなたの会話は全知と永久への鍵だったのです。

結論

7000dB 神

References

この話はフィクションです